2018年06月
2018年06月02日
大学定員超過抑制と今後の影響
2016年度から始まった、文科省の大学定員超過抑制。
毎年だんだん厳格化されて、昨年度の入試は、
定員の大規模大学(8000人以上)では、定員抑制が1.10倍以上
中規模大学(4000人~8000人未満)では、1.20倍以上で、
補助金が不交付になるというから、各大学が必死になるのは当然。
もちろん、この影響で、ホッとした小規模大学も多く、
(なぜなら、小規模大学はこれまで通りの1.30倍以上でないと不交付にならない)
かなりの小規模大学が、昨年に比べ入学者を増やすことができたはずだ。
混乱ぶりは、NHKのサイトに詳しい。
つまり、今年の入学者はこれまでと違い、学力レベルにかなり異変が起きているはず。
NHKでは第一志望の大学に入学できた学生の例が出ているが、
そうでない例もたくさんあるはずとなると、中退率増が不安材料となる。
また、これで、首都圏の大学進学をあきらめ、
地方大学まで、入学者が戻ってくるかというと、それはまた別の問題である。
地方大学まで、入学者が戻ってくるかというと、それはまた別の問題である。
首都圏大学より、地方の大学入学のメリットがない限り、難しい。
もちろん、私は地方大学の存在意義を否定するものではないが、
地方の問題としては、大学だけで解決するのではなく、地方での就職、活躍、
授業料などもセットにして整えないと、都市を諦めて地方へという選択を
しにくい可能性がある。
●
ということで、これらのホットな課題を、このたび
大学広報セミナーということで、6月19日(火)に実施することを企画した。
前半では、キックオフで、旺文社パスナビ編集長の方のプレゼンを皮切に、
参加者同士の意見交換をワールド・カフェ形式で実施。
参加者同士の意見交換をワールド・カフェ形式で実施。
大学教職員だけでなく、高校も、一般の方もフラットな関係で、意見交換をする。
後半は大学通信の常務取締役の安田賢治さんによる講演。
通常大学のセミナーは、企業が自社サービスをセールスするために、
昨年度分析が語られる事が多いが、そういうストーリーではなく
データに基づく、ニュートラルな分析や傾向や予測を話して頂く予定。
大規模大学では、必要にかられ自学で分析を行うと思うが、
なかなか小規模では、そこまで分析できず、担当部署では
「入試部署が頑張ったから、募集結果がよかった」ことにする話も聞いたことがある。
(もちろん頑張っていることは否定しないが、、、)
だが、たとえば、学校指導要領やセンター入試なども変わっていく昨今、
大学教育が変わらなければ、新しい学生に選ばれない。
そして18歳人口の減少。
データに基づく冷静な分析と、改革への決断。
教育企業は本当は自社を飛び越して、大学間で連携や情報共有をされるのは、実は好まないはず。
だが、大学間で連携したり、情報共有し、改革できれば、一緒に生き残る可能性も出てくる。
2018年06月01日
日大アメフト事件と大学広報
かつてないほど「大学広報」というキーワードが飛び交った、5月後半。
20年間大学広報を担当していたが、ここまで、大学外の業界で盛り上がった記憶がない。
それだけ、SNSもネットも一般に定着したということだろう。
本来ならば、日大アメフト部事件は、ブログで即時アップしていくところだったが、
仕事でままならず。だが、過去に大学広報の記事を書いていたこともあり、
5月25日当たりのアクセス数はアップした。
大変残念だが、反面教師として、格好の事例となる、ニュースだった。
もちろん、その事件自体が、体育会の部活動としてあるまじきことなのだが、
長年、大学の広報を続けてきた立場からすると、
日大という、大大学にして、その広報的対処の仕方が、びっくりするほど、
残念な形だったということが、衝撃的だった。
以下、「広報」に絞って、考察してみる。
大きな組織だから、予算や人的資源が潤沢にあるから、
「広報」が完璧とは限らない、のだ。
「広報」が完璧とは限らない、のだ。
日大だって、別に、広報に重きをおいていなかったわけではない。
広報部長が、マスコミ記者だったのだから。
広報部長が、マスコミ記者だったのだから。
となると、事前に、トレーニング(練習)をしてみるしかないのか。
しかし、「広報」は、広報担当部署だけの専売特許ではない。
どこの部署でも、本来的には、様々なステークホルダーに接し、
教職員は、自分の大学名を背負って、対応を行なっているはず。
日大の対応事例は、第三者であれば批判的にならざるを得ないが、
自分があの組織にいたら、どのように行動するのか、と考えたとき
意外に悩んでしまう職員は多いような気がする。
逃げないで、取り組めるか。
上司が、間違っている対応をしそうな時、意見することができるのか。
意見できそうにない場合には、どういうふうに動くべきなのか。
他大学の理事長、学長なども、あのような事例に遭遇したら、
どのように対応するのだろうか。
今回の事例が「大学広報」のあり方を、教職員が考えるきっかけに
なると良いと本当に思う。
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