データサイエンティスト

2018年03月03日

データサイエンティストの育成に思う

180302shiga

3月2日、

日経ユニバーシティ・コンソーシアム   データサイエンスが拓く未来フォーラム2018


に、午前の部に少しだけ参加。

第1部「データサイエンス~産学連携教育研究セッション」


大手町フィナンシャルシティ カンファレンスセンター・ホールで、

定員350名の事前申込制だったが、ほぼ満席。


主催が、滋賀大学と日経新聞社ということもあり、

滋賀大学データサイエンス学部の大規模プロモーション・イベントである。

ざっと参加者の顔ぶれをみたが、企業の参加が大部分のようだった。


企業側のニーズももちろんあるだろうが、
一番初めのデータサイエンス学部ということで、

国の予算の考慮もされやすくなっている結果、ホームグラウンドでなくても

このような満員御礼の集客につながっているのだろう。


滋賀大学は、そもそも、経済学部と教育学部しかなかった。
そこを特色化させようとして、「データサイエンス」を立ち上げたのだと思うが、
よく”滋賀”からスタートできたなぁ、というのが素朴な感想。

2015年の記事になるが、ダイヤモンドの記事で、当時の学長、佐和隆光さんの
統計学の日本歴史が詳しい。

大学は職業訓練校になるべきか?
文科省がいう「真の学力」とは何なのかを追求し
滋賀大学がデータサイエンス学部を新設する理由
佐和隆光氏×坪井賢一対談(後編) 2015.9.18


ビッグデータ時代といわれるのに、日本の大学には統計学部や統計学科が一つとして存在しないのです。なぜかというと、明治維新後、日本が高等教育制度を整備するにあたり手本としたドイツの大学では、統計学講座が経済学部の中にあったからです。統計学は、社会・経済統計を研究対象とする実体科学であり、国勢学に他ならなかったのです。

 旧帝国大学の法科大学から経済学部が分離したのは1919年のことですが、もともと法科大学の中に統計学講座が設けられており、経済学部が分離後、統計学講座は経済学部にうつされました。ミュンヘン大学に留学後、法科大学統計学講座の助教授に就任した高野岩三郎が主導して、1931年に日本統計学会が創設されました。蜷川虎三さん(京都大学経済学部の統計学教授、元京都府知事)のような日本共産党系の講座派と、有沢広巳さん(統計学者、元東京大学・法政大学教授)のような労農派との、マルクス主義統計学者間の対立もありました。


1940年代に入ると、主としてイギリスで開発された推測統計学が日本にも移入され、1941年に統計科学研究会が創設されました。統計科学は、統計学とは別物扱いされていたのです。(略)

 その後は、経済学部の統計学も計量経済学に置き換わり、日本統計学会に推測(数理)統計学者が加入するという異変が、1960年代初め頃に起こりました。1960年代後半に、大学の工学部に統計学科を、大学院の工学研究科に統計学専攻を設けようという試みがあったのですが、お話ししたような歴史的な背景が障害となって、実現しないまま今日に至っています。そのため、日本の統計学者は分野点在型に散らばっているのが現状なのです。

滋賀大学が「データサイエンス学部」を作れる理由について、下記のように述べている。

仮に総合大学でデータサイエンス学部を作ろうという機運が盛り上がっても、経済学部、工学部、理学部などの間で主導権争いが繰り広げられることになるでしょうね。理学部が主導すれば、ルベーグ積分のように高度な数学を修めた上で確率論をやり、統計学に降りて来るといった具合になり、データと馴染む機会が少なくなる。工学部が主導すれば、コンピュータサイエンスに重きが置かれ、既存の情報工学科や数理工学科と差別化しにくくなる。経済学部が主導すれば、これまた片寄りが生じてしまう。自然や人間がらみのビッグデータを扱えるデータサイエンティストを養成できなくなる。

 総合大学でない滋賀大学だからこそ、学長のリーダーシップの下で統計学と情報学の適切なバランスのとれた学識、そして各種領域科学とのコミュニケーション力を備えたデータサイエンティストを養成する学部を創ることができるのです。


滋賀大学は、ひとまず2017年4月にできて、1年生は定員100名のところを110名と
ひとまず、募集はうまく行っているようである。
「文理融合」を目指すというが、
今、やはり企業がほしいのは、大学数学の基本は押さえつつ、
社会、経済、マーケティング等の知識も持っていて、
コミュニケーションもできるデータサイエンティストだろうなぁ、、と思う。

ただ、本当に滋賀大学の教育やカリキュラムの方向性で、
本当に企業に活躍する学生が輩出できるのか。
いち早く社会に貢献するなら、大学院から作ってもよかったのにね、とか思う。
(2019年4月にできるそうですが。)
日本は、この分野の人材育成が、本当に遅れているわけなんだし。

いま、教育熱心なのは中学、高校なので
「データサイエンティスト」育成コースとか、
やっちゃってもいいんじゃないか(N高校はその走りかな)
などと、つらつら思いながら帰宅。

追記:データサイエンティスト育成は、ポスドクの人材活用対策にもなっているようですね

「データ・サイエンティストがビッグデータで私たちの未来を創る」(樋口 知之)
(「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE))





neco5959 at 13:06|PermalinkComments(0)