ベイズ統計学
2018年11月28日
統計教育を考える
弊社の取り組むプロジェクトには、ベイズ統計学を大学カリキュラムに大胆に取り入れる、という試みがあるのですが、その前に、初等、中等教育において、既にデータの扱いや統計の学びが、日本は遅れているのではないか、という危惧がありました。
ということで、ご専門の深澤先生に状況を伺った次第です。このような話が出ました。
・統計教育について、日本はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、中国、シンガポールなどと比較して、学ぶタイミングが遅いこと。
・日本では、従来統計があまり重視されておらず、初等中等教育では教員が統計を教えるスキルや、教材がICTを含めて不足していること
(最近は情報の科目と連携して、取り組む動きである)
・企業では、統計の大切さに気づく動きがあり、統計検定などの受検者が出てきている
簡単な解決はできませんが、見過ごすことのできない日本の教育の課題のひとつです。
2018年03月03日
データサイエンティストの育成に思う

3月2日、
日経ユニバーシティ・コンソーシアム データサイエンスが拓く未来フォーラム2018
に、午前の部に少しだけ参加。
第1部「データサイエンス~産学連携教育研究セッション」
大手町フィナンシャルシティ カンファレンスセンター・ホールで、
定員350名の事前申込制だったが、ほぼ満席。
主催が、滋賀大学と日経新聞社ということもあり、
滋賀大学データサイエンス学部の大規模プロモーション・イベントである。
ざっと参加者の顔ぶれをみたが、企業の参加が大部分のようだった。一番初めのデータサイエンス学部ということで、
国の予算の考慮もされやすくなっている結果、ホームグラウンドでなくても
このような満員御礼の集客につながっているのだろう。
そこを特色化させようとして、「データサイエンス」を立ち上げたのだと思うが、
よく”滋賀”からスタートできたなぁ、というのが素朴な感想。
2015年の記事になるが、ダイヤモンドの記事で、当時の学長、佐和隆光さんの
統計学の日本歴史が詳しい。
大学は職業訓練校になるべきか?
文科省がいう「真の学力」とは何なのかを追求し
滋賀大学がデータサイエンス学部を新設する理由
佐和隆光氏×坪井賢一対談(後編) 2015.9.18
ビッグデータ時代といわれるのに、日本の大学には統計学部や統計学科が一つとして存在しないのです。なぜかというと、明治維新後、日本が高等教育制度を整備するにあたり手本としたドイツの大学では、統計学講座が経済学部の中にあったからです。統計学は、社会・経済統計を研究対象とする実体科学であり、国勢学に他ならなかったのです。
旧帝国大学の法科大学から経済学部が分離したのは1919年のことですが、もともと法科大学の中に統計学講座が設けられており、経済学部が分離後、統計学講座は経済学部にうつされました。ミュンヘン大学に留学後、法科大学統計学講座の助教授に就任した高野岩三郎が主導して、1931年に日本統計学会が創設されました。蜷川虎三さん(京都大学経済学部の統計学教授、元京都府知事)のような日本共産党系の講座派と、有沢広巳さん(統計学者、元東京大学・法政大学教授)のような労農派との、マルクス主義統計学者間の対立もありました。
1940年代に入ると、主としてイギリスで開発された推測統計学が日本にも移入され、1941年に統計科学研究会が創設されました。統計科学は、統計学とは別物扱いされていたのです。(略)
その後は、経済学部の統計学も計量経済学に置き換わり、日本統計学会に推測(数理)統計学者が加入するという異変が、1960年代初め頃に起こりました。1960年代後半に、大学の工学部に統計学科を、大学院の工学研究科に統計学専攻を設けようという試みがあったのですが、お話ししたような歴史的な背景が障害となって、実現しないまま今日に至っています。そのため、日本の統計学者は分野点在型に散らばっているのが現状なのです。
滋賀大学が「データサイエンス学部」を作れる理由について、下記のように述べている。
仮に総合大学でデータサイエンス学部を作ろうという機運が盛り上がっても、経済学部、工学部、理学部などの間で主導権争いが繰り広げられることになるでしょうね。理学部が主導すれば、ルベーグ積分のように高度な数学を修めた上で確率論をやり、統計学に降りて来るといった具合になり、データと馴染む機会が少なくなる。工学部が主導すれば、コンピュータサイエンスに重きが置かれ、既存の情報工学科や数理工学科と差別化しにくくなる。経済学部が主導すれば、これまた片寄りが生じてしまう。自然や人間がらみのビッグデータを扱えるデータサイエンティストを養成できなくなる。総合大学でない滋賀大学だからこそ、学長のリーダーシップの下で統計学と情報学の適切なバランスのとれた学識、そして各種領域科学とのコミュニケーション力を備えたデータサイエンティストを養成する学部を創ることができるのです。
滋賀大学は、ひとまず2017年4月にできて、1年生は定員100名のところを110名と
ひとまず、募集はうまく行っているようである。
「文理融合」を目指すというが、
今、やはり企業がほしいのは、大学数学の基本は押さえつつ、
社会、経済、マーケティング等の知識も持っていて、
コミュニケーションもできるデータサイエンティストだろうなぁ、、と思う。
ただ、本当に滋賀大学の教育やカリキュラムの方向性で、
本当に企業に活躍する学生が輩出できるのか。
いち早く社会に貢献するなら、大学院から作ってもよかったのにね、とか思う。
(2019年4月にできるそうですが。)
日本は、この分野の人材育成が、本当に遅れているわけなんだし。
いま、教育熱心なのは中学、高校なので
「データサイエンティスト」育成コースとか、
やっちゃってもいいんじゃないか(N高校はその走りかな)
などと、つらつら思いながら帰宅。
追記:データサイエンティスト育成は、ポスドクの人材活用対策にもなっているようですね
2018年01月04日
一昨年の陰の努力がなんと書籍『ベイズ統計学』に!
一昨年は学校に在籍していたのですが、その際、これまでの業務の流れで、
松原望先生のスクーでのベイズ統計学の10回オンライン講座をサポートしていました
(パワポ10回分製作、2016年12月に終了)。
それがきっかけとなり、なんと、創元社から書籍が発行されました。
(2017年12月21日、八重洲ブックセンターで平積みになっていました、
あとがきには私の名前まで、、、)
我がことのように、うれしいです。
スクー10回分終わった時もうれしかったですが、1年後の今もまた、実感しています。
「あの苦労は決して無駄ではなかったのだと」。
神様の計画されることはわかりませんね、やっぱり。
「ベイズ統計学」は大人気の、AIやディープラーニングの研究の基本となる統計学です。
先生は、統計学?数学?の人でも分かるように、と丁寧に、スクーで講義をしてくれました。
「最初は、分からなくてもいいんですよ」と、まず興味を持つ、
「面白そうだな」というスタートでよいと。
最初、プレゼンをすべて私が作るということが決まったとき、
「ええ!専門でもないのに~」と途方にくれましたが、
むしろ、全然わからない人が作ることに意味があったのかと、
10回分うれし泣きで勉強させていただきました。
あるときには、準備として、ワイン講座を
ワイン好きのYさんにしていただき、
あるときはお花屋さん
あるときには、
男子の高校の生物のM先生に、遺伝子の模型をお借りしたり、
これがどうして、「ベイズ」につながるのかわからないまま、用意したこともありました。
さて、そういう意味で、書籍も、工夫が凝らしてあります。
話が細かく、かわいいイラスト、図解つきで、
しかも、さらなる、楽しい具体例もバージョンアップ。
「社会人、大学生、好奇心のある高校生」にぴったりの書籍です。
そして、あとがきに、
昨今のデータ・サイエンス学部の設立の時流にも、
「しっかりした学問的な統計学理論がないままでは、
・・・統計学は決して大量、高速の効率的データ処理学ではない」
と警鐘を鳴らします。
ぜひ、皆さんもお手にお取りください。
眺めるだけでも楽しいです。
松原望著『ベイズ統計学 やさしく知りたい先端科学シリーズ』
2017年11月29日
データサイエンスの学部が続々と新設ww

私が所属していた大学は、オール文系学部だったが、、
昨年は、期せずして、松原望先生(!)の、統計学の講義の授業録画(1時間×10回)に
関わることになった。
(それも、プレゼン用スライド作成w)
統計学、それも、ベイズ統計学である。
ベイズ統計学といえば、人工知能(AI)や、フィンテックなどの
基礎になった学問。
よく聞く技術でいえば、
メールのスパム判定システム
商品購入サイトのリコメンドシステム(amazonとかに出るあれ)
自動車の自動運転
コンピュータ対戦ゲーム(チェスとか、将棋とか)
医療新薬開発 などなど。
様々な大学で、昨年あたりから、”データサイエンス”なるキーワードが
フューチャーされてきている。
来年も、広島大学、京都産業大学、横浜市立大学、大阪府立大学etc・・・
理工学系、医療系の専売特許というわけではなく、
文系学部も社会学の分析にもビックデータを利用するとあって、
百花繚乱の様相を呈している(武蔵大学、津田塾大学)。
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データサイエンスが学べる日本の大学
今日、他にもないかと調べていたけれど、まだまだあるので、
これは、まとめて、いずれ別のサイトにまとめてみる予定。
もっとも、海外の動きに比べると、あまりに遅れすぎているので
(日本企業がAIで周回遅れになった理由(日経ビジネス))
どれくらい追いつけるのか、という気がしないでもないが、
日本の生き残りのためにも、
「やらない」という選択肢はないらしい。
これから、国内外で、データサイエンスでどんどん異彩を放つ人材は、
自分で、you tube とかで、調べている、、、よね?
若者におおいに期待したい。
で。
最初の話に戻ると、その授業録画がきっかけとなって
松原望先生が、ベイズ統計学入門の本を12月出版されることに。
なんとも、うれしい話。(これが画像)
コンセプトを作るとき、ちょっと出版社にお邪魔させていただいたが、
イラストも結構あって、研究書籍を出し続けてきた先生には意欲作だと
思う。楽しみ♪